東京建築カレッジでは、日本の木造建築技術や木の文化をテーマに、公開講座を開催しています。豊島区の後援を受けひろく地域住民のみなさまを対象としていますので、どなたでも無料で参加いただけます
第13回公開講座
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第6回公開講座
第5回公開講座
―伝統構法一筋―
「職藝学院」講師島崎英雄棟梁

(2007年8月5日 会場:和敬塾講堂〔旧細川邸〕 参加者307人)
   

 東京建築カレッジが都民、ユーザーとの接点づくりとして開催しているカレッジ公開講座も第10回目を迎え、今年は、8月5日に「和敬塾」講堂(文京区)で開催されました。
  今回の講師は富山で工務店を営みながら、専門学校「職藝学院」のマイスター・講師として活躍されている島崎英雄棟梁。ご自身の開発された伝統構法や学校での実習指導のたくさんのスライドを駆使しながら「伝統構法一筋」の歩みを語られました。参加者は300人を越え、会場一杯。2回3回4回重ねて参加されるかたも目立ちました。
棟梁は、「家を百年もたせるには、どうすればいいのか聞かれる。簡単ですよ。百年経った家をみればいい。法規は建った今のことだけを言う。新築ばかりを見てたんじゃだめだ」と言う。建築を歴史的に見る、これが棟梁の建築観です。講演では実際にどんな住まいをどのように作り、また、作りながら造り手を育てるのかが具体的に示され、たんたんとした口調ながら、自信に満ちたものでした。

感想文から
○街並、曳山、椅子の写真から始まって、学院の様子、「八匠」の話、耐震性、それらが関わりあって本当の建築の在り方を考えさせられる、深みがあって面白かった。(2回目、51歳)
○実際の工事に即した内容で、実感が出ていた。良い物は良いという信念、例えば建築基準法と違っても貫くという気持ちが伝わった。(2回目、51歳)
○図面に従って作るが、材料の心の姿を見抜いていない現代建築とは違う、材料と心を通わす建築が、島崎さんの中にあることを知る。(2回目、32歳)
○金物によらない建物に関心を持つ。今の耐震構造とは相反する工法、意見に同じ思いがする。作って楽しい仕事がしたい。(4回以上、68歳)
○現代、規制が厳しくなり、金物が多く使われるようになっているが、改めて昔ながらの伝統構法の在り方を考えさせられる講演だった。特に、金物が錆びて、廻りの木が腐っている状況を見せられると、計算では計りきれない大工の技術のすばらしさを思った。(4回以上、35歳)
○地域の特性に根ざした構法の話、興味深く聞きました。棟梁ご自身が楽しんで作っておられる姿勢が素敵でした。実際に作っている方の話は、理論を超えて新鮮です。(4回以上、63歳)
○東京の現場でも八尾と同じ建て方で役所の検査を通してしまうのはすばらしい。実績、信念もさることながら、何よりも作るもの自体の強さ、力だと思う。最後に質問に答えて(若い大工さんへのアドバイスとして)、「生産の流れだけを追いかけると行き詰まる。『質』が大切」と言われた言葉に重みを感じた。私も良質の物を心掛けたい。(4回以上、48歳)
○断熱材として籾殻を使う等、自然の物を使い、機能性も兼ねている、そういった発想や方法は、これから重要ではないか(1回目、26歳)